この記事の内容
そもそもVWAP(ブイワップ)とは何か
VWAP(ブイワップ)とは、”Volume Weighted Average Price” の頭文字をとったことばで、日本語では「出来高加重平均価格」という訳が当てられています。
その名の通り、出来高の加重平均値をとって平均価格を割り出すというしくみです。
結局どういうことなのか。
例えば、今日の取引において、ある上場企業「A社」の株が1000円と1100円で売買されていたとします。
このとき、単純にふたつの価格の平均をとると(1000+1100)/2=1050となるので、平均価格は1050円ということになりそうです。
もちろんその計算は正しいのですが、株式投資の世界ではその価格での取引がいったい何株で行なわれたのかという、量の部分(出来高)を考慮しなければなりません。
仮に、1000円で取引された量(出来高)が200株、1100円で取引された量が2000株であったとしたらどうでしょうか?
シンプルに間をとって1050円というのではなくて、たくさん取引されている1100円のほうに平均価格が近くならないとフェアじゃないですよね?
そのことを考慮に入れたのが加重平均価格で、上記の場合は(1000×200+1100×2000)/2200=約1090.91円ということになります。
要するにこの場合は、1000円で取引された量よりも、1100円で取引された量のほうが多いので、1100円により近い、約1090.91円という価格が平均価格として採用されるということです。
このような考え方で決まった価格がVWAPの値となり、その値で売買を行なうしくみがVWAPギャランティ取引です。
全部同じではない!VWAP(ブイワップ)を種類別に解説
ひとくちにVWAPといっても実はいくつか種類があります。
今回はそのなかでもより一般的な3つを取り上げます。
その3つというのは、終日VWAP、前場VWAP、後場VWAPの3つです
3つあるといっても、複雑なものではありません。
要は、平均価格を出すときに計算に入れる時間の範囲が異なるというだけです。
終日VWAPとは、もっとも一般的なVWAP値で、その1日のあいだの市場が開いてから閉まるまでに取引された量と価格から平均価格が決まります。
前場VWAPは、午前の市場である前場が開いている午前9時から午前11時30分までのあいだに取引された量と価格から平均価格が決まります。
後場VWAPは、午後の市場である後場が開いている午後12時半から午後15時(東証の場合)のあいだに取引された量と価格から平均価格が決まります。
どのVWAPも対象としている時間帯の取引が終了したあとに値が確定します。
VWAPの特徴その1: 実際の値動きと比べて上下動が少ない
VWAPは、要するにその日の市場における平均の価格ということになるので、実際のその日の取引でどれだけ乱高下があったとしても、それらを加味した平均値として割り出されます。
当然、大きく値が上がった日にはVWAPも上昇しますし、大きく値を下げた日にはVWAPも下降します。
しかしあくまでも平均した価格であるVWAPは、実際の値動きよりも狭い値幅に納まります。
VWAPの特徴その2: 売買の際に基準として意識される
VWAPは平均価格をあらわしているため、細かい値動きを省いて、大まかにどういった値動きになっているのかを読み取ることができます。
出来高、つまりは株数を使って割り出された平均値なので、VWAPよりも高い水準に現在の価格がある場合、その日に購入された株のうちの少なくとも半数以上が利益を生み出しているということになります。
反対に、VWAPを現在の価格が下回っていた場合、その日に購入された株の半数以上が損の状態になっているということになります。
こうしたことからVWAPは、現在の市場が強気なのか弱気なのかを判断する指標のひとつとして活用されます。
VWAPの値を使って取引ができるVWAPギャランティ取引とは?
ただVWAPとだけいう場合は、あくまでもその日に行なわれた取引の価格と量から割り出された平均価格そのもののことを指します。
このVWAPのところで取引を行ないたいというニーズに応えるために、多くの大手証券会社が提供しているサービスが、VWAPギャランティ取引です。
VWAPギャランティ取引とは、投資家と証券会社が「今日(もしくは指定した日)のVWAPの価格を使って取引を行ないますと約束するしくみ」です。
正確には、購入と売却で価格に差をつくるスプレッドというしくみが採用されていることが多いので、購入時には実際のVWAP値よりも少し高い価格、売却時には実際のVWAP値よりも少し安い価格で約定することがほとんどです。
VWAPギャランティ取引のメリット
- 注文が約定する可能性が高い
- 1分1秒のプレッシャーから解放される
- 高値、安値を掴まなくなる
注文が約定する可能性が高い
株式市場での取引では、注文したからといって必ずしも取引が実現する(=約定する)わけではありません。
指値を使ってこの価格になったら取引しますという注文を出していたとしても、実際にその価格にならなかったとしたら取引は実現しません。
もしくはこの価格で買いたいと注文を行なって、実際にその価格になったとしても、その株がとてつもない人気でだれもその価格で売りたくないと考えていたら取引は実現しません。
これは売却の注文の際も同様で、こうしたことは流動性リスクと呼ばれたりもします。
VWAPを使った取引では、証券会社とあらかじめ「この日のVWAPの値で取引しますよ」と約束をするかたちになるので、証券会社ごとに定められている特殊な場合を除いて、約定できないということは起こりにくいということが言えます。
そのためVWAPを使った取引では、通常の注文よりも約定する可能性が高いといえるのです。
1分1秒のプレッシャーから解放される
常に価格が上下に動く場合は、目をはなしている間、いつ損が発生しているか、利益が発生しているかわかりません。
極端な話をすれば、少し別のことをしていたら大きく値を下げていたなんてことが起こりうるということです。(もちろんその逆もあり得ます。)
そういった状態では、取引をしていない場合でも相場が気になってしまい、結局チャートの前に張り付いている…なんてことが起こります。
専業のトレーダーの方ならそれでも問題はありませんが、そうではないなら株価が気になって仕事や勉強が手につかないなんて状態は避けたいですよね。
VWAPギャランティ取引では、その日の平均に近い価格で取引できることはほとんど確実なので、常に価格をチェックしなければならないというプレッシャーは大幅に軽減されます。
日中は忙しくて相場をチェックできそうにないという方にはありがたいしくみです。
高値、安値をつかまなくなる
長い時間チャートを眺めている人に、何でずっと市場に張り付いているのかと聞くと、市場の細かい動きを追いたいからだと答えるかもしれません。
細かい動きを追っていないと、割安になったタイミングで買えない、割高になったタイミングで売れないということが起きうるからです。
しかし細かく追っていく場合には、購入した価格がその日のなかでは割高な水準だった(=高値つかみ)、またはその逆で売却した価格が割安な水準だった(=安値つかみ)ということが起きるリスクがあることも知っておきましょう。
想定しないようなタイミングで急に価格が上がって、焦って買いを入れたら、すぐに値が下がってしまったなんてことが起きうるのが投資の世界です。
しかしその日(もしくは前場・後場)の平均値をとるVWAPギャランティ取引では、その日の値動きが激しかったとしてもそれに惑わされることなく、平均的な価格で取引をすることができます。
VWAPは、証券取引といった際にイメージされるような、常に価格が上下動する取引とは異なり、対象としている範囲が同じである場合はどのタイミングで注文をしても株価は一定になります。
例えば、午前0:00~午前8:30のあいだは、その日の前場VWAP価格で取引することが可能だとします。
その場合は午前0:00に注文したとしても、午前8:30ギリギリに注文をしたとしても、同じ値(前場VWAPの価格)で約定するということです。
このことから、その日の前場に想定していなかった大きな上下動があったとしても、平均的な値での取引が可能になっています。
VWAPギャランティ取引のデメリット
- 短期の投資には向いていない
- 1日に何度も売買することができない
- 今すぐに売りたい・買いたいと思っても実現できない
短期の投資には向いていない
投資家のなかには、その日の市場の中で起こった上下動を掴んで利益を出そうとする手法があります。
これがいわゆるデイトレードなどと呼ばれる短期トレードのことで、VWAP取引とこの短期トレードの相性はよくありません。
そもそも1日を通して価格が一定だったら、その1日の値動きから利益を得るデイトレードなんてできるわけありませんよね。
デイトレードではなかったとしても、VWAPの値は実際の値動きよりも幅が狭いため、2日3日等の短期間で大きく利益を出すのは難しいといえます。
すべての銘柄で取引できるわけではない
VWAPギャランティ取引で売買が可能な銘柄は、たとえば「東証に上場している銘柄のうち証券会社が選定したもの」といったように一部に限られていることが一般的です。
詳細は証券会社の公式ページ等で確認することができます。
今すぐに売りたい・買いたいと思っても実現できない
1日、もしくは前場・後場のVWAP値を使って取引をするVWAPギャランティ取引は、VWAP値が割り出せる閉場後でないと成約することができません。
こうした事情から、おそらくVWAP値よりも、いまの価格のほうが自分にとって有利だろうと考えたとしても、VWAPギャランティ取引ではVWAP値が約定価格となってしまいます。
また、同様の事情からVWAPギャランティ取引では1日に同じ銘柄を何度も取引することはできません。
そもそも1日を通して価格がほぼ一定なので、同銘柄を1日に何度も取引をする意味がありませんよね。
VWAPを使った取引ができるサービス
FROGGY(フロッギー)
FROGGY(フロッギー)は、SMBC日興証券が提供する新サービスで、サイト内で公開されている記事から関連する銘柄を直接購入することができます。
FROGGY(フロッギー)についての詳細はこちら
このFROGGY(フロッギー)における取引ではVWAPのしくみが採用されています。
そのため、長時間取引画面を注視する必要がなく、割高・割安な値が適用される心配も少なくなります。
高度な投資スキルや知識がなかったとしても、500円から気軽に株式投資を始めることができるというコンセプトなので、このVWAPが採用されているといえるでしょう。
出典: SMBC日興証券公式サイト
具体的にどのように価格が決定するのかというと、FROGGY(フロッギー)から注文した時間帯で前場扱い・後場扱いが決定し、それぞれ前場VWAP、後場VWAPの値で約定することになります。
FROGGY(フロッギー)では、金額指定で購入するので、VWAP値で割り出された平均価格で計算した際の、指定金額に相当する量の株式が約定することになります。(100万円以下の購入の場合を除いて手数料がかかります。)
記事から株式が購入できるFROGGY(フロッギー)はこちら!