税金とは所得の一部を国や地方公共団体に納めるお金。
株式投資でも得た利益の額に応じて税金を払わなければなりません。
この記事では株式投資にかかる税率やかんたんな納付方法、そして税金をタダにできる方法までをご紹介します!
この記事の内容
株で儲けたお金にも税金はかかる!
- 値上がり益(売り価格ー買い価格の利益)
- 配当金
- 株主優待
株式投資で得られる利益にはこの3種類があります。
税金は”儲け”のすべてにかかるため、基本的には株投資で得られるすべての利益に税金がかかってしまいます。
それぞれの利益にかかる税金は次のように呼ばれます。
- 譲渡利益税(値上がり益にかかる税)
- 配当課税(配当金にかかる税)
- 優待課税(株主優待にかかる税)
詳しい支払方法については後でお話しするので、まずはそれぞれいくらかかるのかを見ていきましょう。
支払い必須①!値上がり益にかかる税「譲渡利益税」
値上がり益には所得税と住民税がかかり、これらをあわせて譲渡利益税といいます。
例えば1万円で買った株を2万円で売ったとき、値上がり益は1万円ですね。その時かかる譲渡利益税は2031.5円です。
つまり、「買った時より1万円も高く売れた」と思っても実際に手に入るのは8000円程度になってしまうんです。意外と高いですよね…
0.315%は復興のための税金
この所得税の「.315」という細かい値、気になりませんか?
実は平成25年から平成49年まで「東日本大震災の復興特別所得税」として所得税額×2.1%が追加課税されているんです。
所得税はそもそも15%だったので、15%×2.1%=0.315%が上乗せされ、現在の所得税率がトータルで15.315%となっているんです。
支払い必須②!配当金にかかる税「配当課税」
値上がり益と同様に配当金にも所得税と住民税がかかり、これらをあわせて配当課税といいます。
こちらも税率は譲渡利益税と同じなので、1万円の配当金をもらっても配当課税として2031.5円ひかれてしまいます。
結構イタイですね。
ほとんど払われていない?「優待課税」
基本的にはどの利益に対しても税金を払わなければならないとお話ししましたが、実際は株主優待にかかる「優待課税」だけはほとんど払われていません。
その理由としては以下の3つがあげられます。
- 優待は商品券やサービス券などが多く”お金”で支払われないため金額に換算しづらいから
- サラリーマンの場合、給与以外でも20万円までの所得なら税金の申告が不要だから
- 専業主婦など給与所得がない場合でも38万円までの所得なら税金の申告が不要だから
優待課税がほとんど払われていないとはいっても、本来は②や③の条件から外れれば払わなければいけないものなので、将来的に徴収されることがあるかもしれません。
ですが、現在のところは優待課税の支払いに関しては気にする必要がないようです。
株式投資で引かれる税金は高い?安い?
「利益から20%も税金で引かれるの!?」と驚いた人も多いのではないでしょうか?
この税率が高いのかどうか、所得の基本である「給与」と他ジャンルの投資である「FX」「不動産投資」それぞれの税率と比較してみてみましょう!
まず、所得税と住民税がかかるという点はいずれも共通です。
”住民税”は一律で10%と決まっています。
株式投資とFXは所得税も一律の20.315%です。
しかし、給与と不動産投資の所得税率は一定ではなく、所得が多くなればなるほど高くなります。
では実際にそれぞれ100万円、1000万円の所得があったときに引かれる税金はいくらか計算してみます。
支払い税額= (利益ー控除額) × 税率
この計算は「株式投資」なら株式投資からしか収入がなく、給料などはもらっていない場合に限るのであまり現実的な支払い税額の参考にはならないことにご注意ください。
この表からわかって頂きたいことはこの3つです。
- 株式投資もFXも税率は同じ
- 株式投資の税率が飛びぬけて高いわけではない
- 給料や不動産投資の利益が多くなれば株式投資の税額は安く思える
「税金20%なんて高すぎない?」と驚いたかもしれませんがどの投資をやってもそのくらいは引かれてしまうようですね。
「特定口座(源泉徴収あり)」開設で申告手続き不要!
つづいて税金の支払い方についてお話しします。
税金の支払いって税額を計算したり書類を出したりいろいろめんどくさそうですが、、、
実はそんな面倒な計算や手続きはすべて証券会社に代わりにやってもらうことができるんです!
その方法は”口座開設のときに源泉徴収ありの特定口座を選ぶこと”たったこれだけです!
株取引を始めるときに開設できる口座には以下の3種類があります。
- 一般口座
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 特定口座(源泉徴収あり)
一般口座の場合は年間の投資利益(または損害)の計算も確定申告も自分でする必要があります。
特定口座(源泉徴収なし)の場合は、年間の投資損益の計算は証券会社がしてくれますが、確定申告は自分でしなければなりません。
これに対して特定口座(源泉徴収あり)だと年間の投資損益の計算と確定申告をすべて証券会社がやってくれます。
その名の通り源泉徴収(=天引き)されるので納付の面倒もありません!
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を選ぶ人はどんな人?
これだけ説明すると「特定口座(源泉徴収あり)以外を選ぶ人なんているの?」と思うかもしれません。
実際、7割近くが源泉徴収ありの特定口座を利用していますが、特定口座が全員に適した口座であるとは言いきれないんです。
例えば、優待課税の項でお話しした通り、給与以外の所得が20万円以下のサラリーマンや、所得が38万円以下の専業主婦などはその利益に対する税金を払う必要はありません。
しかし源泉徴収ありの特定口座を利用していると勝手に税金がひかれてしまうんです!
払わなくてもいい分なのに!
また、上場していない企業の株(未公開株)を購入することができるのは一般口座からのみといった特徴もあります。
このような理由から、当然ですが一般口座も源泉徴収なしの特定口座にも需要はあります。
NISAの利用で税金免除!
ここまで税率や税金の支払い方法をお話してきましたが、
実は税金を払わなくて済む方法があるんです。
それがNISA(少額投資非課税制度)です!
NISAとは2014年にスタートした制度で20歳以上であればだれでも最長5年間、株の税金を払わなくて済むお得な制度です。
※20歳未満向けの「ジュニアNISA」という制度もあります。
「気軽に投資に参加してもらって経済を活性化させよう!」という目的で国がつくった制度なのであやしいものではありません!
上で説明した3つ口座に加えて、NISA口座と呼ばれるものを新しく開設できるようになりました。
NISA口座から投資した株式で得られる”値上がり益”や”分配金”すべてに税金がかかりません。
そんなNISA口座は証券会社、銀行、投資信託会社など多くの金融機関で開設することができます。
ちなみに、2016年度の個人投資家数はおよそ1600万人で、NISA口座の稼働数は300万口座ほどだそう。つまり5人に1人がNISAを利用しているという状況です。
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NISA口座はどこでつくる?ネット証券を投資タイプ別に比較!NISA利用の注意点
ただ、NISA口座にもいくつか注意点をがあるので、ここではその注意点についてお話しします。
- 1人1口座まで
- 新規投資が対象
- 非課税枠で投資できる金額は年120万円まで
- 制度は2023年まで
1人1口座まで
NISA口座は1人1つしかつくることはできません。1金融機関ごとに1人1つではなく、いずれか1つの金融機関での1つの口座しか持つことはできません。
新規投資が対象
非課税となるのはNISA口座から新規で買った株式のみです。
現時点で別の口座で保有している株式をNISA口座に移しても非課税の対象にはならず、税金を払う必要があります。
非課税枠で購入できるのは年120万円分まで
NISA口座の非課税枠(税金のかからない投資額)は年に120万円までと決められています。120万円を超えて購入した株には税金がかかります。
120万円分以内であれば、譲渡利益税も配当課税も0円です!
しかもそれが1つの株につき最長5年間続きます!
ちなみに120万円の非課税投資枠は毎年更新され、前年度の枠を使い切ってないからと言って翌年に持ち越すことはできません。毎年120万円がMaxです。
また、非課税枠はあくまで投資額に設定されていて、利益額ではありません。
極端な話、NISA口座で120万投資をして利益が出なかったとしても、その年の非課税枠は使い切っているということになります。
制度は2023年まで
この制度が継続されるのは現在のところ2023年までとされています。
ですから、一度NISA口座を開設すれば2023年までは毎年120万円の非課税投資枠が与えられます。
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まとめ
株式投資の税金に関する疑問は解決されたでしょうか? 最後に簡単にまとめておきます。
- 株式投資の税率は20.315%
- 株式投資の税率は飛びぬけて高いわけではない
- 特定口座(源泉徴収あり)を使えば税金支払いの手続き不要
- NISA口座を使えば税金はタダ!
ここまででお話しした通り税金の面だけでみると税金の支払いは口座の選び方次第で手間ゼロですし、税金を支払わなくて済む方法もあるので投資を敬遠しすぎる必要はありませんよ!