最近ニュースで耳にすることも増えたソーシャルレンディング。
不正行為が横行している、透明性が低くて危険などとネガティブなイメージもつきまとうこのキーワード。でもイメージが先行していて、実際のところ何が危険なのかをわかっていない方も多いのではないでしょうか?
この記事ではソーシャルレンディングの概要とその具体的な危険性についてお伝えします。
この記事の内容
ソーシャルレンディングとは
まず皆さんはクラウドファンディングという言葉は聞いたことがありますか?
面白いアイディアをもった個人や組織が、その実現に必要な資金をインターネットを利用して募ることをクラウドファンディングといいます。少し前に話題になった映画『この世界の片隅に』の製作費もクラウドファンディングによって調達していて、エンドロールには出資者の方々も記載されていました。
実はソーシャルレンディングっていうのもこのクラウドファンディングの1種なんです。
- 寄付・購入型 モノやサービスを受け取る購入型と難病治療など報酬がない寄付型の2種。
- 融資・投資型 安定した金利を得る融資型、業績に応じた配当金を得るファンド投資型、現金ではなく株式を得る株式投資型の3種。
計5種のうちの融資型の別称がソーシャルレンディングや貸付型クラウドファンディングなんです。
そしてこのソーシャルレンディングが新たな投資対象として近年注目を浴びてきているんです。
ソーシャルレンディングの仕組みは銀行とよく似ています。
両方とも預金者の資金を使って銀行やソーシャルレンディング事業者(以下SR事業者)が企業に融資。そして得られた金利を預金者に分配するのです。
同一のビジネスモデルなのに、SR事業者の金利が銀行より高いのはリスクが存在するからです。
ソーシャルレンディングに潜む3つのリスク
さて、ここからが本題です。
巷で噂されるソーシャルレンディングのリスクについてわかりやすく解説してみます。
まず、ソーシャルレンディングのリスクは大きく3つに分類することができます。
貸し倒れ(デフォルト)リスク
貸したお金が返ってこないことを貸し倒れ(デフォルト)といいます。
ソーシャルレンディングと銀行は私達の資金を集めて企業に融資をしています。そして時には融資先の企業が倒産してデフォルトが起きてしまうこともあります。
デフォルトが起きると私達のお金はどうなってしまうのでしょうか?
銀行では預けた資金が少なくなることはありません、ですがソーシャルレンディングでは預けた資金は帰ってきません。
もちろん仲介事業者が綿密に調査をしているものの、デフォルトは100%なくせるものではありません。
しかし、他サイトの調査によると2018年時点のソーシャルレンディング全体のデフォルト率は1.47%、日銀が公表する金融サービス全体のデフォルト率が近年は1~2%を推移しているのを考慮すると特別ソーシャルレンディングのリスクが高いというわけではないことがわかります。
拘束期間と利益の変動リスク
融資というのははあらかじめ企業に対して貸し出す金額と期間が設定されています。そしてソーシャルレンディングでは途中解約をすることはできません。株や投資信託のように途中解約や現金化がしやすい投資ではないので注意をしましょう。
更にソーシャルレンディングでは早期償還と返済遅延と言われる資金拘束期間の変動がよくあります。
対象がベンチャー企業なので業績の予測がしづらく、予想以上に業績が悪化、もしくは成長すると資金拘束期間が変動するのです。
想像以上に業績が成長すると本来6か月で返済する予定だったものが3か月で返せるようになります、これを早期償還といいます。
それと対称になるのが返済遅延、こちらは業績の悪化によって予定通りに返済ができない状況をさします。
早期償還は直接的なデメリットはないのですが、返済遅延が多い事業者は審査が甘いために貸し倒れの危険性もあがるので、事業者を選ぶ際には過去の返済遅延率などに注意しましょう。
事業者リスク
そして、ソーシャルレンディングで一番注意する必要があるのが事業者リスクです。
ソーシャルレンディングは投資家と企業の間に仲介事業者が存在している形になります。間に金融機関が存在しているというのは他の投資でも同じなのですが、問題なのはソーシャルレンディングの仲介事業者はベンチャー企業が主だということ。銀行や証券会社といった大手の金融機関と違って仲介事業者自体が倒産や詐欺をしてしまう可能性があるのです.
2019年の4月時点でソーシャルレンディング事業者は約30社、現時点で倒産をした企業はありませんが、詐欺まがいの悪質な経営を行い裁判にまで至った企業は存在しています。
みんなのクレジット
「みんクレ事件」と呼ばれるソーシャルレンディング業界最大の不祥事です。
2016年4月に白石伸生氏が取締役としてサービスを開始していた「みんなのクレジット社」が出資者から31億円の資金を騙し取った事件です。
この会社は「15%の高年利とキャッシュバック」をPRし、1年足らずで約40億円の資金を集めていました。しかしその資金の融資先は白石氏が経営するグループ会社の(株)ブルーウォールジャパン(現テイクオーバーホールディングス)に融資されていたのです。そのまま全案件がデフォルトにまで至りました。
ラッキーバンク
田中翔平氏が代表を務めるラッキーバンク社が2018年12月に起こした不祥事です。
「みんクレ事件」と同様に親族の経営する会社にほとんど全ての資金を融資しており、こちらも約30億円を騙し取ったと報道されています。
両社に共通するのが法律の不備を利用したこと。
ソーシャルレンディングは新規領域でありまだ法整備が整っていません、今までは融資案件の詳細を出資者が見ることすらできない状況にありました。
ただ参考記事にあるように今後は法整備が整っていくので、このような詐欺事件は減っていくでしょう。
それでもおすすめなソーシャルレンディングの魅力
ここまでソーシャルレンディングのリスクについてとりあげさせていただきました。
といっても、ソーシャルレンディングに手を出してはいけないわけではありません。ソーシャルレンディング以外の株やFXにも詐欺同然の行為をする人はいます。
詐欺の危険性を抜きに考えるとソーシャルレンディング自体はとても魅力的なサービスです。
ミドルリスク&リターン
投資ではリスクとリターンは比例する関係にあります。
例えば元本保証がされている銀行預金や債券では利回りは1%にも満たないことがほとんどです。投資額や年数が大きければ利益はでますがほとんどの場合は雀の涙です。対象に株やFXなどは1日で何十万と利益を出すことも可能ですが、逆に何十万も損を出す可能性も同等に存在します。
ソーシャルレンディングではデフォルトリスクが2%ほど存在するものの、何十万と損をすることはありません。加えて平均利回りも5-15%と比較的高く、投資の中では珍しいミドルリスクミドルリターンの分野に属します(他のミドル投資は不動産など)。
少額スタート
他の投資と比べて必要金額が少ないことも魅力の一つです。
株式やFXでは最低購入金額が数十万から、リスク回避のために分散投資を考えるとまともに運用ができるのは数百万円必要です。一方でソーシャルレンディングは最低1-2万から投資ができる案件が多く、資金の少ない大学生や新入社員にこそおすすめな投資なのです。
専門知識がいらない
事業者選びをしっかりとすればあとはプロの投資家たちが選んだ案件しか存在しません。株式取引のように金融・経済の専門知識を学んで秒ごとに変化する株価を追い続ける必要はありません。信頼できる事業者を選べば後はお任せで大丈夫です。
騙されないための事業者選び
といっても「みんクレ事件」のような詐欺行為にひっかかるのは怖いですよね。
紹介した3つのリスクの中で最も警戒するべきなのは事業者リスク、というか事業者リスクさえ回避することができれば面倒なことはありません。
ここからはソーシャルレンディングで騙されないための事業者選びのポイントについて解説していきます。
社長を見る
社長の経歴を見ましょう。
ソーシャルレンディングの事業者はほとんどが創業5年未満のベンチャー企業です、なので今までの実績が少なく、企業の信頼・安定性を見ることが難しいです。
そんな時は経営陣の経歴を見ましょう。例えば上場企業の取締役を務めていたり、難関企業(マッキンゼーなどの外資系コンサルなど)の出身だったりすると安心が出来ます。
過去に行政処分を受けた「みんなのクレジット」の白石氏は在学中に学生起業をして以来、何度も会社を建ててはつぶしてきていました。
出資元をみる
企業の出資元や資本提携を確認しましょう。企業の出資や資本提携には莫大な資金とプロセスが必要です。経営戦略のプロフェッショナルが企業のことを綿密に調査をし、信頼性を担保できた企業にのみ支援を行うのです。「みんなのクレジット」は上場企業に資本提携を断られていたりもしました。
上場、大手企業からの出資・資本提携がある企業を選びましょう。
おすすめ事業者
ソーシャルレンディングは事業者選びさえできればそこまで危険ではありません。
もちろん投資なのでリスクはありますが必要以上に危険性を感じる必要はありません。
この記事では筆者が上記の観点からおすすめするSR事業者をいくつか紹介しますね。
funds
▼1円からの投資/口座開設▼Funds(ファンズ)公式サイト
- 社長の藤田氏はサイバーエージェント出身
- マッキンゼー出身の柴田氏を筆頭に経営陣の経歴が確か
- 上場企業を対象としたソーシャルレンディング
ネクストシフトファンド
- 代表の伊藤氏は上場企業の取締役を複数経験
- 谷家衛氏(大手クラウドファンディング会社CAMP FIRE会長)が出資